睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは文字通り睡眠中に呼吸が止まり、それによって日常生活に様々な障害を引き起こす疾患です。SASの重症度は、AHI(Apnea Hypopnea Index)=無呼吸低呼吸指数で表し、一晩の睡眠を通して、1時間あたりの無呼吸や、低呼吸(呼吸が浅くなる状態)の頻度をもとに診断していきます。このAHIが5回以上認められ、日中の眠気などの自覚症状がある場合、SASと診断されます。AHIが5〜15回が軽症、15回〜30回が中等症、30回以上が重症とされています。SASの病態の多くは空気の通り道(気道)が塞がる又は狭くなることによって起こる『閉塞性睡眠時無呼吸症候群(以下閉塞性SAS)』です。

<あなたは今、どれくらい眠気を自覚していますか>

以下の8つの質問に対して「眠気の状況」を参考に当てはまるものに○をつけて、その数字の合計を出して、あなたの眠気の状態をチェックしてみましょう。(結果は下段*をご覧ください。)

(0:眠ってしまうことはない 1:時に眠ってしまう 2:しばしば眠ってしまう 3:ほとんど眠ってしまう)
1、座って何かを読んでいる時(新聞、雑誌、本、書類など)
2、座ってテレビを見ているとき
3、会議、映画館、劇場などで静かに座っているとき
4、乗客として1時間続けて自動車に乗っているとき 
5、午後横になって、休息をとっているとき 
6、座って人と話をしているとき
7、昼食をとった後(飲酒なし)、静かに座っているとき
8、座って手紙や書類などを書いているとき 

睡眠時無呼吸症候群を診断する検査方法は3つあります。

  • パルスオキシメータ検査:指先にセンサーをつけて、血液中の酸素状態と脈拍数を測定し、睡眠中の無呼吸を予測します。簡便的な検査で入院の必要もありませんが、正確な診断には向いていません。
  • 簡易検査:呼吸の状態や血中の酸素の状態などを測定し、睡眠呼吸障害の程度(AHI)を求めることができます。AHIが40以上で眠気などSASの症状が明らかな場合、CPAP療法の対象となります。AHIが40未満であれば、さらに精密検査(PSG検査)が必要です。CPAP療法後の治療効果判定の検査として行なうこともできます。
  • ポリソムノグラフィー(PSG検査):専門の検査施設等に入院して確定診断を行ないます。様々なセンサーを取り付け、実際の睡眠の質(眠りの深さや分断の状態)の評価をします。また、睡眠中の行動異常、不整脈などの評価も行い、他の睡眠障害、合併症の有無について診断します。

CPAP療法

CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)とは、CPAP装置からホース、マスクを介して、処方された空気を気道へ送り、常に圧力をかけて空気の通り道が塞がれないようにします。CPAP療法を適切に行うことで、睡眠中の無呼吸やいびきが減少します。治療を続けることによって、眠気がなくなる、夜間のトイレの回数が減るといったSAS症状の改善が期待されます。またCPAP療法は、めがねをかけていることと同じで、治療器を使用していなければ無呼吸はなくならず効果がありません。なれるには2〜3ヶ月かかる場合もあります。

※眠気の診断チェックで13点以上あると、眠気の自覚症状があるといわれています。点数が高ければ高い程、眠気の自覚が強く、何かしらの睡眠障害の疑いが高くなりますので、検査することをお勧めします。
※睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、CPAP治療の他に”口腔内装置による治療”や”手術による治療”もありますが当院ではCPAP治療以外は行っておりません。
※CPAP療法は、検査を行い一定の基準を満たせば健康保険の適応になります。その場合には、定期的(月1回)な外来受診が必須となります。
詳しくは診察時に担当医にお尋ねください。